デスロード・リターン

自明の理が1つある。それは、行きにデスロードを通るということは、帰りにもデスロードを通るということ。

もう2度と通りたくはない、と思っていたため少し憂鬱な気分になる。しかし実のところ、行きほどには恐れていない。理由は2つ。1つ目は、帰りは山側を通るため、我々が落ちるとしたらその前に谷側の車が落ちるだろうこと(とりあえず自分の命優先)。2つ目は、デスロードに差し掛かるのは真夜中なので、寝ている間に通過している可能性が高いこと(根本的な問題の解決にはなっていない)。

行きは最後列で座席の下が宙に浮いたが、今回は最前列。運転席の上にあるため、前方は180度ガラス張りの特等席。恐ろしさはあるものの途中の景色は素晴らしいため、ルレナバケ到着早々帰りのチケットを購入していたのである。

午前10時30分、ほぼ定刻でバスは出発する。ここから20時間の長旅が始まる。しかし、本気のデスロードはこのうち1~2時間程度の区間だけでなので、それ以外の道はリラックスできるし、とても美しい(ほとんどの道は未舗装だが)。昼食、夕食もそれぞれの休憩場所で済ませ、夜になる。次に目が覚めたら恐らくデスロードも通過してラパスに着いているだろう。最前列の席はとても広いし景色も楽しめたし今回の移動は楽に終わりそうだ、と思う。

うとうとし始めた夜中の12時過ぎ。いきなり車掌が客席にやってきて、大声で何かを言う。どうやら、豪雨によるがけ崩れで道路に土砂がたまっているらしい。そして、それを乗り越えるときに、車が傾いて谷に転落するといけないので、全員山側の席に体重をかけるように、とのこと。

まぢか。そんな古典的な方法で大丈夫なのか、と思う。

バスが「ぐぁん!」と山側に乗り上げ、大きく谷側に傾きながらも、なんとか土砂崩れ地帯を通り抜ける。ふと見ると、道路の右側が異常に暗い。一体、ここはどこだろう。しばらくして、カーブを右に曲がった。ライトが漆黒の闇に吸い込まれた。どうやらこのバスはデスロードに踏み込んだようだ。外は大雨。何も起こらなければ良いが。。

真夜中で交通量はあまり多くないが、それでも車同士のすれ違いはたまにある。行きのドライバーは弱腰太郎で困ったが、帰りのドライバーはどうか。昼間から思っていたが、このバス、道のど真ん中を走っている。そして、絶対後ろには引かない。

「!!」

今回のドライバー、とんでもなく強気だ。対向車といえば道路の端すれすれを走っている。相手には気の毒だが、これなら道を譲って崖に落ちる心配はなさそうだ、とほっと一安心。

しかし、次の瞬間背筋が凍る。1台の小型車がこともあろうか、我々のバスを追い抜かしてしまった。次の瞬間、怒り狂ったバスが火を噴くような勢いで加速を始めた。

「こいつ抜き返す気だ」

深夜の大雨のデスロードで、たった今抜かれた小型車を大型バスが抜き返す、ってどういうことですか。ぐんぐん加速していき、カーブで道が細くなる瞬間、ぎりぎり抜き返して事なきを得る。そして、もう2度とその小型車が我々を抜きにかかることはなかった。どうやら僕達はとんでもないドライバーを選んでしまったようだ。

そして、とんでもない席を。一番前の席なので視界良すぎ。ボロバスなので、前方のカーテンなんてついていない。見たくない恐ろしい光景が次々と目に飛び込んでくる。それでも必死に目をつぶり、うとうとしだした午前2時ごろ、急にエンジンが止まり静かになった。給油かトイレ休憩かと寝ぼけ頭で受け流していたが、そこからなんと7時間停車。

何と、デスロードが土砂に流されてました。
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やっぱり、この道危険すぎるわ。。我々のバスは道路遮断後2台目の到着。もし時間が少しずれていたら、とぞっとする。ものすごい濁流が流れ続けており、雨も止む気配がない。これは、1日がかりの長期戦だなぁ、と思う。しかし、数時間後にダンプカーがやってきて、一掃。予想よりはるかに早い開通にびっくりする。恐らくこういう事態には慣れているのだろう。

それならそれで、そもそもがけ崩れとかおきないように予め補強して欲しいんですけど。それよりもとりあえず、ガードレールくらい作った方がいいと思うんですけど。。

開通後、無意味に前のバスを抜き、我々のバスが先頭で濁流の土砂の中に突っ込む。

超強気。。

無事、通過。でもやっぱり、わざわざ先頭で通る必要ないと思う。

27時間の長い移動の末、ラパスに帰還。いやぁ、長かったと思ったけど、後日向かった旅人さんは48時間かかったとか。。。
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by shingo20100620 | 2011-02-05 03:25 | ボリビア編